摺り暈し友禅、刷毛に軽く染料液を付けて、型紙を使って模様輪郭や部分を暈し染めする技法です。摺り切りや写し染めと異なり、この暈しを染める職人は、自分の染めている色や柄の表現に自分なりの制作責任を持つ程の意気込みと摺り込み技能が必要となります。
例えば、同じ染料液を使っても暈しの濃さや暈し足の長さには個人差があり、用いられる丸刷毛の大小や刷毛使いによっても染め上がった友禅の雰囲気は全然違うものとなります。細かい摺り技能は教えられるものではなく、職人個人の個性が大切な染色法といえます。
「都摺浪漫」はこのような技法を用いて、心豊かな感性を持った職人たちによって生み出されています。
(*1) 型彫りは彫師の手により彫り上げられる。よって摺り友禅は彫師と染師の共同作業である。
(*2) 継ぎ目のない一枚板を生地に張り付ける作業。摺り染めは板の上で染められて行く。
(*3) 型板数分くり返す。
(*4) このように様々な工程を経て「摺り友禅小紋」は完成されて行く。熟練の職人だけが成せる業である。